探究学習とは
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《 探究学習とは 》
教師の役割

従来の学習では、教師が「知っている人」、子どもが「知らない人」という明確な線引きの下で授業が行われてきました。「知っている人」が「知らない人」に教えます。
先生から教えてもらったことだけを覚えれば良く、それが成績として反映されます。
しかし探究学習では、教師と子どもが同じ視点に立ち、知らないことに興味関心を持ち、疑問を抱き、共に自調自考しながら答えを見つけ出します。
探究学習のクラスでは、教師は「ティーチャー」ではなく「ファシリテーター」(進行役)だという表現もよく見られます。

「知っていること」を基礎に「知らないこと」に挑む

子どもが知らないことを教師が教えるのではなく、探究学習では、まず子どもが何を知っているかを探り、それを基に探究することで新たな発見と感動を得ます。
例えば「エネルギー」について学ぶ単元(ユニット)では、「機械を長く使っていると電池がなくなる」、「磁石はくっつくときと離れるときがある」などは、身の回りの生活から既に知っています。知っていることを引き出すことで、それに関連する知らないことに関心を持って探究できます。
「電池ってどんな仕組み?」、「なぜ磁石に物がくっついたり離れたりするの?」などの疑問を抱き、それを自分で考え、調べ、時には推論を立てたり実験をしたりして答えを探ります。

KWLチャートの活用

探究学習では「KWLチャート」というものを活用しています。
K=Know(知っていること)、W=Want to know(知りたいこと)、L=Learned(知ったこと)を意味します。
探究のユニットの間、知っていること、知りたいこと、知ったことを自由に付箋に書いて貼っていきます。教師はそれらを読みながら授業を進めていきます。既に知っていることを一から教える必要はなく、知りたいことを中心に学習を進めることによって、ユニットを通して関心を持続して探究に取り組むことができます。
教師も、「本当はこういうことを学んでほしい」と思えば、自分で「電気が流れるものと流れないものってなんだろう?」などと付箋に書いてチャートに貼ることもできます。
ユニットが進むにつれて、初めは何もなかったL(知ったこと)の部分がどんどん埋まっていくよう、資料や具体物を用意して子どもの探究をサポートします。

実生活との関連

ある小学校でこのような道徳の授業が行われました。
「順番を守る大切さ」を教えることが目的でした。「クリーニング屋さんに、まずウサギさんが服を持ってきました。次にキツネさんが服を持ってきて『すぐにいるので、先に洗ってください』と言いました。
さらにタヌキさんが服を持ってきて『これ友達に借りていて返さないといけないので、先に洗ってください』と言いました。さあ、誰のを先に洗うべきでしょうか。」答えはウサギさん。「どんなことがあっても順番をしっかり守らないといけないから」だそうです。

しかし実際はどうでしょう。地域のクリーニング屋さんに聞いてみると、必ず持ってきた順番通りに洗うところもあれば、臨機応変に対応するところもあるでしょう。早く洗うために追加料金を取るところもあるでしょう。
結局は空想の話では実生活において何の役にも立ちません。当学園で行われた授業では、「秩序」の大切さを教えるために、子どもが来る前に教師が教室の椅子と机をばらばらに置きました。

ホワイトボードも教室のど真ん中に置き、普段決められている役割も全部一人の子に押し付けて、何もなかったかのように授業を進めました。すると、それを不自由と感じた子どもたちはそれについて話し合いました。不自由さを実際に体験することで「秩序」という概念について考えることができました。他にも実生活の中で「時間」「交通ルール」などの「秩序」を見つけることもでき、
その一部として、順序を守ることの大切さを理解することもできました。

子ども自ら意味を構築していく「構成主義」

探究学習は単に調べ学習ではありません。クラスで議論をすることでもありません。子どもたちが既有知識を基に新しいことに対して自分たちで意味を構築していく「構成主義」という教育論に基づいています。
子どもが辿り着くべき答えを限定せず、あらゆる可能性を模索させ、結論を導かせます。勿論それらの結論が正しいかどうかも、自分自身で振り返って検討、分析させ、次の学びに繋げていきます。

これを通して自分の学びに責任を持ち、学習をさせられているとは感じず、自ら進んで学び、学校を去った後もずっと学び探究し続ける心を養います。
探究学習、構成主義などの概念をもとに子どもたちが生きる時代に必要な素質を身に付けるために教師も日々学びながら成長しています。また日々ご家庭でも、些細なことにも疑問、関心を持ち、広い視野を持って世界を見ることができる刺激と経験を与えることで、さらに探究学習が楽しく有意義なものとなります。

子どもたちのために、共に学び成長できるよう探究学習や構成主義を更に深く知るための推薦図書10冊をご紹介します。

《 POI | 探究プログラム、Programme of Inquiry 》

POI(探究プログラム、Programme of Inquiry)とは、探究のカリキュラムを全体的にまとめたものです。教師全員が共同作業で作り上げます。PYPでは6つの「教科の枠を超えたテーマ」があります。「私たちは何者なのか」、「私たちはどのような場所、時代に生きているのか」、「私たちはどのように自分を表現するのか」、「世界はどのように動いているのか」、「私たちはどのように自分たちを組織しているのか」、「地球の共有」の6つです。各学年の子どもが年間を通して6つのテーマを、それぞれ1つの探究ユニット(UOI)として学習します。

《 校外学習 》
校外学習や特別授業

探究学習の内容に則った体験につながる行き先を選びます。年間で6つの単元があり、それぞれの単元に付き、最低一ヶ所の校外学習に出かけます。学びとは机上の学習ではなく、実際の社会の仕組みや他分野の知識と関連することが重要だと考えているからです。特別展や期間限定の特別イベントがあった場合などは月に1回以上の校外学習体験となります。また、実際の訪問体験以外にも、スペシャルゲストをお招きして、学習内容にあった特別授業も取り入れています。これまでにも掃除の仕方、命の授業、ダンスレッスンなどさまざまな分野のスペシャリストにお越しいただきました。

 
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関西国際学園 神戸校(初等部)
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